老獪コンサルタント秘儀 序章

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韓国歴史ドラマ「大王世帝」に学ぶ

組織活性化のコンサルタントをしていると、いくつかの課題に集約される。

家業型組織で良く見かけるのは<世代交代>と<リーダーの資質>に関する葛藤である。

韓国で大ヒットした歴史ドラマ「大王世帝」は、典型で上記課題が主題になっている。

日本では2008年に全86話で放映され、以後何回か放映されている、もちろんtutaya  にもおいてある。

1400年頃の朝鮮時代の最高のリーダーと評価される、「4代世帝」の物語である。

この世帝はハングル文字を創造し、普及させたことでも知られている。

4代目世帝の父親は自分の兄を倒し、更に父親を上王に退けて王位を獲得する。

王は自分の世継ぎを「世子」として指名しておく必要がある、中国の当時の王朝である明の要請でもある

長男A、次男B、3男C、腹違いの4男D、幼い末子E、ともに優れた資質を持っていた。 

これら王子の中から長男Aを「世子」として指名する。 

Aは剛毅で武術にも長けていたので、周囲の官僚達からも王財(王としての資質に富んでいる)と言われて歓迎されていた。

その他の王子は、兄弟間で覇権争いが起こらないようにとの政治的配慮で、「政治に関わるな」と強く諭され、王道を学ぶことを禁止されていた。

Bは、その指示に従い「風流」に生きて静かに暮らすことを選択する。

Cは、世の中のことや統治のことなどに関心が高く、王道に関する書物で指導を受けていることが露見して、「謀反」を企んでいるのかと、王や官僚達から手ひどく叱責される。

世事の事柄に対する関心の高さは捨てられずに、思い悩んで師匠に相談する。

師匠は「所詮、書物からの学びなど役に立たない、世の中を観ることが大事だ」と示唆を受ける。

身分を隠し、気心の知れた部下と市井を見て回り、大きな衝撃を受けることになる。

「父親は偉大な王様で、日夜政治に忙しくして官僚たちと議事を凝らしている、キット民には愛されているに違いない」と純粋に信じていた。

現実は、民は不平不満が一杯で、王様の統治に不満を持ち、公然と批判を述べている。

「けしからん民ども奴」と思っていたが、不満の実態などを知るにあたり、政策の実行に問題があるのだろうと思い至り、更に詳しく調べた。

ある時、明からの使者が「明国が倭寇撃退の軍を派遣するので、馬1万と人員一万を提供せよ」、更に「世子を人質に」との居丈高な要請をし、王朝は大混乱を来たしていた。

は宴席で立腹して、明の使者に怒りをぶつけて大問題になる。

Aは自国の軍事力が弱いので付け入られるのだ、軍事増強・大砲作成・訓練強化などを声高に唱え、王宮内で主戦論者と平穏主義者の分裂を引き起こし、穏便に和平交渉を進めたい王とも意見が衝突する。

王は「頼もしくも思う反面、危うさを」を感じる。

Cは明の使者の「本意」と「使者個人としての興味関心事は何か」を知るために、部下を忍び込ませて探る。 

これらを知ったのちに、然るべき手を打ち、使者を巻き込み・説得に成功し、無事難局から脱する道筋を作り、王や官僚から高く評価される。

王は「富国強兵」が必要と考えて、国税を増やす策を講じて、「奴婢」の身分に落とし込まれた民の身分回復をさせる「平民復帰」事業を命じる。

官僚は、時間も手間も係るために中々精力的に進められないでいた。 

*まるで「マイナンバーの普及」が重なり見えてきた。

Cは、この政策は民のためになると共感し、普及活動の支援に乗り出す。

若手学者の育成機関である「成均館」のメンバーを引き連れて、世情を観させ、メンバーを説き伏せて、味方につけて普及活動推進戦力にした。

更に、他の王子B、D、Eをも巻き込み、事業推進に大貢献する。

これらの過程で、Cこそ王財ではないかとの風評が高まる。

Aの<王宮の力で民を従わせて、強引に進めるのが権威を示すことになる>とのマキャベリズムな志向と、Cの<現地を知り、相手の立場に立って問題解決を図ることが、長期に亘って信頼を築くことになる>とのエンパワーメントな志向の対立が明確になる。

Cは「Aに代わって世子になりたいのではない、民の為であり、Aのためにも世情の安定が大事と思っての活動である」ことを強調し謀反心がないことを示す。

しかし、徐々にCが次期王にとの機運が高まり、ついに4代目に就任する。

この構図は、ドラマの中だけでなく、実際の組織でもよく見かけるテーマである。

権力抗争の展開では、ナンバー2が人身御供になることが多いが、Aも父親から切られている。  

父親は自分の王位が揺らいだ時にAを切り、自らの安泰を図った。

 *集団心理学で有名な<ビヨン理論>である

  1.集団は混迷した時に、救世主を求める  

  2.見事に対処した救世主は、感謝されるが、いづれ「磔に会う」

  3.長期に安定が続くと、部下や世間は「依存」から「強度な依存」移り、リーダーを崇める

  4.贅沢なことに、この状態で良いのかと「反依存」が生じ、不平不満が燻る

  5.「権力に擦り寄りつるむ集団:ペアリング」と「権力に対峙集団:アンチ」と分派する、いわゆる派閥抗争である

  6.そして「権力に立ち向かい争うか:FIGHT」「日和見を決め込み、諦め、無気力にFLIGHT」なるかの葛藤が生じる

これら一連の心理状況の流れは、集団では無意識に発生する。

人間集団の生き様の源泉は、エモーショナルな嫉妬と羨望と不安などである

この事態に対する介入策は余りなく、集団自体にあるいは当該集団のリーダー達に、無意識から行っている現状がいかに<非生産的>であり、無益な争いになっていることを気づかせて、妥協の道を探させる。

あるいはリーダーが「新たな目標を提示」して「目から鱗」の状態を醸成できれば、真のリーダーシップとなる。

一連の舞台となった王宮はソウルの景福宮で、その正面門が有名な「光化門」。

正面大通りの中央分離帯に「大王の王座座位像」が金色に輝き、景福宮と更に北山を借景にして見事なものである。

景福宮の西側には有名なサムゲタンの大店があり、何時も長蛇の列ができている。

歴代の大統領が通うことでも有名である、どの時間帯に行くのだろうか、はた迷惑でもあると思うが。

更に近辺には「西食堂市場」が500メートルほどの長さで、飲食店が軒を連ねて賑わっている。

日本人一人では入りにくいので、何時もコリアの友人や部下に付き添ってもらっていた。

どの店も美味しいが、一番奥に牛肉屋さんが、「牛の焼き肉」のスペースを作り給していた。 韓国では牛肉は極めて贅沢品であり、庶民は特別な時にしか食さない。 

普段は豚か鳥が主で、豚も部位ごとに調理する店になっている。 

私は通貨価値の差を生かして友人や部下を連れて行くので、私がコリア事務所に行くと大歓迎された。